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私の個別避難計画2 福祉避難所

イラスト:illustAC

福祉避難所とは

 つくば市の「(個別)避難計画書」を見ると、福祉避難所に関する記述がないことに気づきます。福祉避難所とは、高齢者や障がい者など、特別な配慮を必要とする方を受入れる避難所です。

 市区町村は、施設管理者と連携し、当該施設が指定福祉避難所として機能し、要配慮者が避難生活を送る上で良好な生活環境を確保するための必要な施設整備を行わなければなりません。

 必要な施設整備とは、以下の通りです。

・段差の解消、スロープの設置、手すりや誘導装置の設置、障がい者用 トイレの設置など施設のバリアフリー化

・通風・換気の確保

・冷暖房設備の整備

・非常用発電機の整備

・情報関連機器(ラジオ、テレビ、電話、無線、ファクシミリ、パソ コン、電光掲示板等)

・その他必要と考えられる施設整備

 2011年の東北地方太平洋沖地震の際には、一般の避難所での生活が長期化し、高齢者らが体調を崩すケースが問題になりました。

イラスト:illustAC

福祉避難所の受入れについて

 どうすれば福祉避難所に入れるのでしょうか。つくば市の例を下に示します。

(図をクリックすると拡大表示されます。)

つくば市のおける福祉避難所に避難するまでの流れ

 このように、つくば市の場合、高齢者や障がい者は、最初に一般の指定避難所に入り、そこで福祉避難所に誘導すべき人を見極め、市が用意した車で福祉避難所に移るという仕組みを採っていますが、実は、全国のほとんどの自治体は同様の仕組みを採っています。しかも、事前に福祉避難所の場所や施設名を公表していない自治体や福祉避難所の開設を広報しない自治体も多いです。つくば市も、福祉避難所として25の施設と協定を結んでいますが、公表されているのは、県立つくば特別支援学校のみです。その理由は、

・一般の人が押し寄せると、福祉避難所としての活動に支障をきたす。

 ・福祉避難所に入れる人数には限界がある。

 ・福祉避難所は避難スペースの確保、スタッフの配置など受け入れ態勢が整った段階で開設されるため、開設に時間がかかることがある。

などが考えられます。

イラスト:illustAC

福祉避難所への直接避難

 つくば市における避難行動要支援者名簿に登録された人数は、令和2年度で4204人です。すると、市内25施設の福祉避難所が全て開設されたとしても、要支援者の全員が福祉避難所に避難しようとすると、1施設当たり168人が大挙することになります。確かに、福祉避難所の場所や施設名を事前に公表すると、混乱を招く恐れがあります。

イラスト:illustAC

 しかし、この仕組みでは、避難所での生活が困難な多くの高齢者や障がい者は自宅にとどまってしまいます。そこで、国は、2021年(令和3年)5月に福祉避難所の運営指針を改定し、福祉避難所の受け入れ対象者を市区町村が決め、直接、福祉避難所へ避難できるように「個別避難計画」を策定することとなりました。これにより、高齢者や障がい者の「逃げ遅れ」や「体調不良」を防ぐ効果が期待されます。

(図をクリックすると拡大表示されます。)

自宅から福祉避難所へ直接避難

 つくば市においても、福祉避難所の定員が足りないなどの理由により、高齢者や障がい者が自宅から福祉避難所へ直接避難する仕組みはできていません。よって、「個別避難計画」に反映させることはできません。今後、洪水や土砂災害などの危険がある地域に住んでいる方々から、検討していく予定です。

つくば市役所

 一般の避難所生活での体調悪化や過労などが原因の災害関連死をなくすために、「個別避難計画」の作成と合わせて、福祉避難所への滞りのない直接避難の仕組みが望まれます。

イラスト:illustAC

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。そして、私の質問に回答してくださったつくば市役所の皆様、ありがとうございました。

 次回は「私の個別避難計画」について書きたいと思います。次回もよろしくお願いいたします。