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私の個別避難計画1 個別避難計画とは

イラスト:illustAC

はじめに

 私は車いす利用者です。年齢は50代です。これから、5回に分けて「私の個別避難計画」について書きたいと思います。よろしくお願いいたします。

 大学では地質学を学びました。卒業後は、地質調査会社に入りましたが、仕事中の事故により脊髄を損傷したため、下半身に麻痺が生じ、車いすが必要になりました。そして、私は災害弱者を守るための防災に目覚めたのです。

イラスト:いらすとや

個別避難計画とは

 東日本大震災を受けた2013年の災害対策基本法の改正により、全市区町村に対し、高齢者や障がい者など、災害時に支援が必要な方の名簿、すなわち、「避難行動要支援者名簿」の作成が義務化されました。

 下に示すのは、私が住んでいる茨城県つくば市における避難行動要支援者の対象となる条件です。私の身体障害者手帳の等級は2級ですので、私は「避難行動要支援者名簿」に登録されています。

(表をクリックすると拡大表示されます。)

(つくば市のホームページによる)

つくば市における避難行動要支援者の対象となる方

 2021年(令和3年)の6月中旬、つくば市の社会福祉課から私へ郵便が届きました。中には、「(個別)避難計画書」が入っていました。「(個別)避難計画書に記入して、返信してください。」というのです。

 「個別避難計画」とは、避難の支援をしてくれる方や避難時に配慮してほしいこと、避難先などをまとめたものです。2021年(令和3年)5月、災害対策基本法の改正により、「個別避難計画」を作成することが市区町村の努力義務になりました。

(表をクリックすると拡大表示されます。)

(つくば市のホームページによる)

つくば市の(個別)避難計画書

つくば市の「個別避難計画」策定の取り組み

 つくば市の「個別避難計画」の策定は、令和2年度から始まりました。初めに「個別避難計画」策定の対象となったのは、洪水や土砂災害などの危険がある地域に住んでいる方々です。令和3年度には、対象が広がり、市内全域となりました。

つくば市役所

 つくば市の社会福祉課は、高齢者や障がい者など、災害時に支援が必要な方(避難行動要支援者名簿の登録者)及びホームページなどを見て希望した方々に対して、「(個別)避難計画書」を郵送しました。そのため、私の所にも「(個別)避難計画書」が送られてきたのでしょう。

 なお、社会福祉施設入所者や長期入院患者については、支援対象者の所在が明確であるため、避難行動要支援者名簿の登録対象とならず、社会福祉施設や病院などが、避難計画を作成します。

イラスト:内閣府

 「(個別)避難計画書」は個人情報ですので、取り扱いには注意が必要です。その内容は、災害が発生していない平常時においても、様々な関係機関に提供されるため、支援を必要とする方は、個人情報の開示に同意する必要があります。同意しない場合には、関係機関に情報提供は行われません。関係機関とは消防機関(消防団含む)、警察機関、民生委員・児童委員、つくば市社会福祉協議会、自主防災組織(自主防災活動をしている自治会)です。

(図をクリックすると拡大表示されます。)

「(個別)避難計画書」が提供される関係機関

 そして、支援を必要とする方は、氏名、住所、連絡先、避難の支援をしてくれる方、避難時に配慮してほしいこと、避難先などを記入します。

 特に、医療機器(人工呼吸器、淡(たん)の吸引器、胃に直接栄養を注入するためのポンプ(胃ろうのための注入ポンプ)など)の電源・バッテリーが必要な方に対しては、後日、障害福祉課が支援を必要とする方に詳しい調査票をお送りし、予備のバッテリーがあるか、自家発電機はあるかなど、踏み込んで状況をお聞きします。

イラスト:いらすとや

(図をクリックすると拡大表示されます。)

 また、障害福祉課では、上述したような医療ケアが必要な方に対して、医療的ケア用品を約1日分、市役所にて預かり、災害時に市内避難所などまで可能な限りお届けする事業も行っています。

 「個別避難計画」を作成する社会福祉課と障がい者の福祉相談の窓口である障害福祉課とで、支援を必要とする方が、どこに住み、どのような医療機器を使用しているかを把握することで、災害発生時には、その状況に合わせて社会福祉課と障害福祉課が支援を行います。

 なお、障害福祉課・社会福祉課は、人工呼吸器を使用している難病患者や障がい者を対象に、非常時の家庭用発電機購入費用補助制度を実施しており、最大で10万円の補助が受けられます。

つくば市役所

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。そして、私の質問に回答してくださったつくば市役所の皆様、ありがとうございました。

 次回は「福祉避難所」について書きたいと思います。次回もよろしくお願いいたします。